2014年11月7日金曜日

アントロポゾフィー医学における病気の意味

セラピストの千田恵子です。

ルドルフ・シュタイナーの提唱した理論に基づいた医学「アントロポゾフィー医学」は、科学的な通常の現代医学に加えて、シュタイナーの思想に基づいた世界観、人間観からも人間の成り立ち、疾患の成り立ちを洞察し、それを診断・治療に生かすことにあります。

今回は、子ども時代の成長と人生後半の病気の関連について、「地球人15号」からの抜粋でお伝えしていきます。

*****<以下は「地球人15号より>**********

アントロポゾフィー医学では、病気とは何かを乗り越え、
それを自分の新しい能力を身につけるための挑戦である、と考えています。

病気にはすべて意味があります。

動物は、ある困難を乗り越えて新しい能力を獲得し、
より動物的になるということはありません。

しかし人間だけは、困難を克服し新しい能力を得て、成長することができます。

病気を乗り越えることでより人間になることができるといえます。

また、魂や精神という人間の本質が、
自分の肉体の中に自分の体の中にあって
それを居心地よく感じられるようになることが人間の健康には必要です。

つまり、発達過程の中で、
自分の体が自分にとってより適したものになるように、
遺伝によって与えられた体を「作り変えていく」プロセスです。

その時にいわゆる小児病が重要な役割を果たします。

特に発熱は、自分の体を自分に適したものに作り変える作業を助けます。

人間には病原体や異物の侵入を防ぐ防御機構があります。

一度出会った外敵や非自己と認識した異物を記憶して新入を防ぐ働きが免疫作用ですが、
感染症では発熱によってこの免疫系細胞が刺激され、
病原体を攻撃したり増殖をおさえたりします。
したがって、むやみに解熱剤を与えることは免疫活動を鈍らせることになり、
体にとっては不利な作用を及ぼします。

近年増加しているアレルギー疾患は、
体から異物を排除しようとする免疫反応が過剰になっているともいえます。

抗体を作ることは感染症と戦うためには必要な反応ですが、
必要のないものにも抗体が作られてしまい、
アレルギーという問題を引き起こしています。

小児期の熱性の感染症はアレルギーの発症を少なくするという報告の他に、
熱性感染症を小児期にやり終えることによって癌の発生率が低下するという報告、
三種混合の予防接種年齢を生後3ヵ月から生後5ヵ月へと2ヵ月遅らせるだけで、
7歳までの喘息の発生率が半減したというカナダからの報告もあります。

こう考えていくと、感染症の自然経過を抑制したり、
免疫機能が未熟な乳児期早期に予防接種をするということが、
短期的には効果があっても長期的には有害な結果を招く可能性があることも
考慮すべきことかもしれません。

親の誰もが、そして医師もまた、子ども時代の急性の発熱、
感染症を完全に回避することはできないと心の奥底では気づいています。

親の仕事はこういった子どもの病気を理解し寄り添うこと、
そして医師の仕事は個別に対応し、経過を見守りつつも、
重篤な合併症がおこらないよう適切に対応することではないでしょうか。

*********<次回に続く>**************




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